南の島の台風情報活用法! スーパー台風「Pongsona」が及ぼした影響について

いや〜っ、久しぶりに大型の台風がマリアナ諸島を近辺を通過しました。この辺で一番被害にあったのはグアム島とロタ島でした。幸いなことにテニアン島、サイパン島はグアム島ほどの被害は受けず、12月14日現在では通常の営業を行っております。これからサイパンへいらっしゃるツーリストの方は安心してご旅行ください。

サイパンには反対にグアムが予想以上の被害を受け復旧までかなりの時間を要するとされているため、グアムへ行く予定のお客様がサイパンへシフトして飛行機のサイパン線は満員、コンチネンタルもサイパン直行特別便が飛び始めたそうです。


まず、台風の強さの基準は日本とは少し違います。日本の場合、熱帯低気圧から台風という2段階ですが、こちらの天気情報では中心付近の風の強さで4段階に区分されます。

さてさて、そんな訳で今回は日本とはちょっと違う台風の強さの段階とそれに伴う旅行者への影響をご紹介しましょう。

某ファーストフード店の準備の様子。これはまだコンディションIIが出る前です。


台風のカテゴリー

トロピカルディプレション(熱帯低気圧) 風速30~39MPH(13~17m/s)
トロピカルストーム(台風) 風速40~72MPH(18~32m/s)
タイフーン(台風) 風速73~150MPH(33~66m/s)
スーパータイフーン(台風) 風速151MPH以上(67m/s以上)

今回の台風「Pongsona」はこの中ではスーパータイフーンのカテゴリーでこの近辺を通過した時には中心付近の風速は時速200マイルだったという話ですから凄まじい暴風だったのでしょう。幸いにもサイパンは中心から約100マイルの位置だったのでよかったのですが、グアムとロタは限りなく中心に近かったため、木だけならまだしもコンクリートの電信柱さえなぎ倒され、車のウィンドウは割れ、木造の家は吹き飛ばされと大被害となりました。

コンディションIが出た直後、すぐにガソリンスタンドが閉まりました。

このような台風が接近している状況の中でツーリストの方にどのように関わってくるかというと台風が接近する予想進路、予想時間によってマリアナ諸島危機管理事務所が米国ナショナルウェザーサービスの情報を元に一般市民に以下のような危険信号が発令されます。

これはテレビ(サイパンでは2チャンネル)またはFMラジオ、さらに危機管理事務所の24時間ホットライン(322-0220/テープ)で確認ができます。

ビーチロード沿いのビルですが見事なほどベニヤ板で台風に備えています。これはコンディションIIの時です。


台風のカテゴリー

コンディション IV 72時間以内に接近、上陸の可能性
コンディション III 48時間以内に接近、上陸の可能性
コンディション II 24時間以内に接近、上陸の可能性
コンディション I 12時間以内に接近、上陸の可能性

このコンディションでツーリストに影響が出てくるのは「コンディション II」で、この場合商業港からの船の出港が不可能になり大型船のでの航行はなくなります。そうなると海を利用したオプショナルツアー(マニャガハ島ツアー、潜水艦ツアー、テニアンツアー等)の大部分はクローズとなります。

ガラパンの、普段は洋服などが一杯かかった第一ホテル前のお店も、コンディションIIで店じまい。

さらにこれが「コンディション I」になると一般市民は「自宅待機」をしなくてはいけない状況になり、つまりお店やレストランで働いている従業員は会社が責任をもって家に帰さないといけなくなります。
それに伴い今回の場合を見ても「DFSギャラリア」、「白牡丹」、「ツーリスト向け路線バス」、すべてのオプショナルツアーが一時休止という事態になります。

今回は発令が正午過ぎだったので、13:00~14:00の間に全ての営業が休止となりました。ツーリストの方もホテルに待機となります。この「コンディション I」で一番影響を受けるのが飛行機で、空港が閉鎖となるため、飛行機が到着、発着が不可能になります。

8日の午前中は「コンディション II」だったんですが、すでに日本では航空会社が様子見をしていて、午後に「コンディション I」が出るのを予測してキャンセルとなりました。もし飛行機が飛んで来てコンディションが変わると空港に着陸できない場合、また日本へUターンして帰らなくてはならないからです。

飛行機の発着が不可能になると帰ろうとしていたお客様は大騒ぎとなります。まずもう一泊しなくてはなりませんが、このような台風のような自然の影響だと実費で延泊しなくてはなりませんので余計な出費となりますよね。


このような「コンディション I」が発令された場合は皆さん潔く諦めてホテルに留まるのが賢明です。このような事態になると、島全体に送られている電気も風の強さによっては送電をストップしたりします。つまり強風で電線が切れたりするとそれからの二次災害が起こる可能性があるため、電気会社が勝手に送電をストップするのです。そうなるとしっかりした発電機を持っている施設はホテルぐらいなのでそこにいるのが一番安全です。

コンディションIIで商業港が利用できないので、マニャガハ島へ行くフェリーは全てスマイリングコーブへ非難し、ロープでクモの巣状態で張られ台風に備えます。


これだけ強い台風はそうそう来ないでしょうが、もしマリアナ諸島を旅行している際に台風に遭遇することがったら、この台風の大きさの区分と警報システムを利用してより的確な判断をしてください。

最後に、今回のこのスーパー台風「Pongsona」においては、ロタ、グアムが深刻な被害にあっています。グアム、ロタは今日(14日)現在まだ電気が通じておらず、住民の多くは最悪な状況下での生活を強いられております。南の島を愛する方々、アメリカンレッドクロスなどを通して救済基金を設立しておりますので、是非皆さんのご協力をお願いいたします。


ではまた、来月のサイパン指南をお楽しみに!

(2002年12月14日)

 

私的サイパン指南